倒れるときは前のめり

青木玄徳さんの舞台とか映画の感想などもろもろ。

僕は後頭部をやられた!--『ファニーバニー -鳥獣と寂寞の空-』感想

ファニーバニー -鳥獣と寂寞の空-
2012年4月19日~4月30日

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めちゃくちゃかっこいい舞台。
台詞がまるで言葉遊びをしているようで、とても音楽的。
 
ストーリーは、自殺しようとしている人が分かるという特殊能力を持つ主人公剣持とその友人漆原を中心とした
少し不思議系の設定ではあるがSF色はそれほど濃くなく、現代劇という感じです。
哲学風でもあるけどそれにありがちな小難しさは無くてリズムよく話が進んでいきます。
 
随所にエスプリが効いているし、また悲しさと切なさも孕んでいるが、
最後に希望が残るので観終わった後は救われた気持ちになります。(※個人の感想です)
 
 
この舞台で青木さんはメインの2役を演じていました。
 
1人は新見晴。
一見ポワポワしていて「この子大丈夫?」と思えてしまうが、
人として大切な部分はしっかりと分かっている芯の強さを感じるキャラクター。
彼の「ぼくは後頭部をやられた!」のセリフは私の周辺ではファニバニの代名詞となっていました(笑)
 
2人目は菊池ヒロシゲ。
親友を亡くし、その喪失感や罪悪感から生きることが苦痛になっている繊細なキャラクター。
彼が最後にどう救われるのかがこの舞台のクライマックスの一つ。
 
まさに陰と陽のキャラクターを演じ分けたこの舞台が、青木さんのテニミュ以外の初舞台でした。
舞台の演出上、2つのキャラクターを行ったり来たり、瞬間で切り替わったりするのでその都度、表情はもちろん、目の輝き、力が変わるのがすごい!
 
これは青山円形劇場という、どの席からも舞台を身近に感じられる劇場ならではの効果だったのかもしれませんが、
キャラの雰囲気がガラッと変わる瞬間を目の当たりにした時の感覚は未だに忘れられません。
 
※一応「2キャラ」と書いていますが、厳密にはアンサンブルもこなすので演じたキャラ数はもっと多いです。理系オタクの演技などは要チェック!
 
 
内容も素晴らしいが、これを初舞台に選んでくれた事務所にも、当時金一封送りたいくらいいい仕事を与えてくれたと感謝しまくりでした。
青木さんの役者としての天井の高さが感じられたし、確実に青木さんの役者力の糧となったはず!
ファンで観ていない人は是非DVDも出ているので観て欲しい!
 
……ですが、すでに販売が終了している上に中古でも恐ろしく高いので……誰かに借りられるなら是非……!
 
 
これを観た帰り、内容の素晴らしさと共に「いい仕事もらえてよかったね」「青木さんの役者としての可能性の大きさ」が嬉しくて、渋谷駅まで泣きながら坂道を歩いたのはいい思い出です(笑)
 
そういえばお隣の青山劇場ではこの時ちょうど加藤和樹さんが出演されていて、楽屋訪問してくれたのも微笑ましかったなあ……バナナ……(笑)
 
ついでに、物販のTシャツが可愛くていまだに愛用しています♪
 
 
 
余談ですが、この「ファニーバニー」はほぼ再演でした。
ほぼ、っていうのは完全再演ではなくて、以前のストーリーに+αのストーリーを絡めて違った形にしているからです。
前作は、時速246億で2007年に公演されました。(私は未観劇でDVDを購入して観ました)
その時は新見晴を永山たかしさん、菊池ヒロシゲを川本成さんが演じられていました。
役者が変わると印象も変わる、ということでこちらも機会があれば是非!
DVDも売ってるよ!